小説
『タイムリープマシン』

あらすじ

 S社研究開発部部長のT氏には、野望があった。
 提携のR大学研究室、I教授からタイムリープマシン完成の一報を受けて、彼は一も二もなく飛んでいった。
 実験の名目で、タイムリープマシンから理想の未来へと、時間旅行に旅立つ。
 若くて美人の妻と二人で暮らす幸せな日常、彼女のお腹には待望の第一子が宿っているという。
 なんて素晴らしい人生だと、T氏は狂喜乱舞する──
 というような、自分にまったく瓜二つな人間の幸福な人生を、T氏はR大学の研究室で、モニター越しに見せつけられていた。
 タイムリープマシンの構造上、自意識を飛ばしたところで、もといた時間軸はなくならない、そこにも意識は残ってしまうという。
 つまりは、幸せになれる自分と、そうでない自分が同時に生まれてしまう。
 憤慨するT氏に、I教授は会心の解決策を授けた。
 未来とは可能性。
 今からの努力次第で、いくらでも自己実現可能ですよ、と。
 翌年、T氏は無事に結婚したが、相手はあの女性ではなかった。
 タイムリープマシンはお蔵入りとなった。

『タイムリープマシン』
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